







バレエの舞台で主役級の存在感を放つアイテムといえばティアラ。しかし、既存品は高価な上にデザインの選択肢が限られており、「もう少し華やかにしたい」「衣装にピッタリ合わせたい」と感じることが少なくありません。私は50代を迎えてから、「自分の手で作る」という新しい挑戦に踏み出しました。ビーズやワイヤーを組み合わせることで、想像以上に本格的で舞台映えするティアラが作れると知り、手仕事の時間が日常の喜びになっています。
この記事ではその体験をもとに、初心者でも安心して挑戦できるティアラ作りの手順を詳しくご紹介します。
ティアラ作りを決めたきっかけと準備
私が最初にティアラ作りに興味を持ったのは、孫のバレエ発表会を観に行ったときです。スポットライトに照らされた子どもたちは、本当にお姫さまのようでしたが、市販のプラスチック製ティアラはどこか頼りなくみえました。そのとき「もっと美しく輝くティアラを用意してあげたい」と強く感じたのです。偶然にも友人のバレエの先生から誘いをうけたことがきっかけで自作ティアラへの挑戦が始まりでした。
バレエの衣装は以前から制作していたにも関わらず、ティアラは全く作ったことがなく、50代からの新しい挑戦は、苦手なワイヤーワークを克服する良いきっかけにもなりました。
材料と道具
ティアラ作りに必要な材料と道具は、手芸店(貴和製作所、パーツクラブなど)やオンラインで気軽に揃います。ここでは初心者が扱いやすいものを中心に紹介します。
★土台用ワイヤー: 形を維持できる太めのもの(#20、#22ゲージ / 1mm0.6mm程度)。アーティスティックワイヤーがおすすめ。
★飾り用ワイヤー: ビーズを巻き付ける用。細め(#26、#28ゲージ / 0.4mm、0.3mm程度)で柔らかいく扱いやすい。
★コード: 中にワイヤーを通して仕上りを美しくする金や銀のラメコード(5mm程度)。細いコードならより繊細な印象。
★メインのビーズ: スワロフスキーやパールを中心に、4mm〜6mm程度が使いやすい。ソロバン型、ドロップ型(しずく型)など。光を反射して舞台上で非常に美しく輝きます。
★装飾ビーズ: チェコビーズのファイアポリッシュなど、カットが入ったものは光をよく藩主あして舞台向き。
★その他: スパンコール(10mm前後)黒チュール( 髪に固定しやすい)。
道具類(ヤットコ、ニッパー、接着剤、針金類)もあると心強いです。これらを揃えるだけで、自宅で“舞台仕様”のアクセサリー作りが始められます。

私が初めて購入したときは、「どのビーズが実際にきれいに映るのか」迷いました。結局、チェコ製ビーズのカット面が舞台効果を生むとわかり、それ以来この組み合わせがお気に入りです。
基本のデザインと手順
多くのバレエティアラは、「土台(ベース)」「センターパーツ」「サイドパーツ」「固定部分」の4要素から成り立ちます。それぞれを意識して作ることで、よりバランスとく完成度の高いデザインに仕上がります。
作り方の流れは以下のとおりです。
今回は土台を初心者の方でも簡単に作れるコードで作る方法をお伝えします。
デザインを決める
まず、作りたいティアラのデザインを紙に描き、バレエの演目や衣装のイメージを整理しする。センターパーツの高さや、サイドパーツの長さなどを大まかに決めます。
土台を作る
①太い方のワイヤー(#20ゲージなど)とコードを、頭のカーブに合わせて30〜40cmほどにカットします。仕上がりの長さより長めに、3本準備します。
※コードを着る時はほつれないように、セロテープを巻いた真ん中を切るようにします。ボンドで固めるとより綺麗に仕上がります。
②ワイヤーの両端を丸ヤットコで持ち、くるっと巻いて小さな輪(ピンループ)を作り、コードの中にワイヤーを通します。
③ワイヤー全体を、デザインに合わせて形を作ります。コードの両端を丸ヤットコで持ち、②と同じ様に小さな輪を作ります。
土台にパーツを巻き付ける
①メインの土台パーツに残りの2本のワイヤーを、それぞれ土台のワイヤーにしっかりと巻き付けて固定します。余ったワイヤーはニッパーでカットし、端を平ヤットコで押さえて髪や肌に引っかからないように処理します。
※センターパーツの左右対称になるように、巻き付けましょう。
②ワイヤーが重なる部分は形が崩れないように糸を縫い留めます。
ビーズのパーツを飾る
①ワイヤーの中央にメインのビーズ(スワロフスキーなど)を接着剤で固定します。
②メインのビーズがつけ終わったら、小ぶりなビーズやスパンコールを全体に飾り付けていきます。
③ビーズの根元でワイヤーを2〜3回ねじって、ビーズを固定します。これで1つのビーズパーツ(「ねじりパーツ」とも言います)ができます。
④これをデザイン画に合わせて必要な数だけ作っておきます。複数のビーズを枝分かれのようにして、小枝のようなパーツを作るのも素敵です。
仕上げ
①すべてのパーツを付け終えたら、全体の形を整えます。
②ワイヤーの端が飛び出していないか、指でそっと触って確認し、危ない箇所があればヤットコで丁寧にならします。
③土台の数カ所や中央に、髪に固定する用のチュールやコームパーツをしっかりとつけると、より安定して装着できます。
きれいに作るためのコツ
◎左右対称を意識する:
方眼紙などの上で作業すると、左右対称のデザインを作りやすいです。
◎ワイヤーはきつく巻く:
ビーズパーツを土台に巻き付けるときは、緩みがないようにきつく巻きましょう。仕上がりが綺麗になり、強度も増します。
◎ビーズの色と種類:
使うビーズの色を3色程度に絞ると、統一感が出て上品な仕上がりになります。クリスタル、パール、メタリックカラーのビーズなどを組み合わせるのが人気です。
実際に舞台で使って感じたこと
完成したティアラを孫に着けて発表会へ向かった日の思い出は、今も鮮明です。ステージでライトを浴びると、チェコビーズのカット面が細やかに光を反射し、表情が刻一刻と変化しました。
観客席の保護者からは「市販品とはまるで違う」「衣装と一体感があって素敵」と言う感想もいただき、手作りならではの魅力を改めて実感しました。
よくあるトラブルと解決策
▲ビーズが抜け落ちる…→ナイロン糸の二重結びを徹底し、コーティング剤でコーティング
▲ワイヤーが痛い…→こより状にした布を巻きつけるか、透明ビーズキャップを被せて緩衝材に。黒チュールをカチューシャ状にしティアラを固定する
▲左右のバランスがズレる…→完成後にビーズ数を微調整するか、最後のアーチ部分を軽く曲げ直す。作るときに中心を常に意識する
まとめ:自分だけの舞台を彩るティアラを
ビーズやワイヤーを使ったティアラ作りは、初めての方でも思った以上に簡単に取り組めます。必要なのは特別な技術ではなく、少しの工夫と「ちょっとやってみよう」というほんの少しのチャレンジする気持ちです。
特に50代から始める手仕事は、作品作りの喜びだけでなく集中によるリフレッシュ効果ももたらしてくれます。誰かの舞台を彩る特別な一点物を自分の手で生み出せることは大きな喜びです。ぜひ「自分だけのティアラ」を作って、舞台や発表会に輝きを添えてみてください。
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