基礎知識

50代から楽しむ!日暮里繊維街で見つける大人の手仕事時間

Walking through Nippori Textile Town 基礎知識

窓越しに吹き抜ける秋風が心地よい季節になると、私は「布に触れたい」と思うことがあります。東京・日暮里駅の東口を出て歩くと、布好きには有名な「日暮里繊維街」が現れます。

わずか600メートルの道に大小50軒以上の専門店が並び、綿、リネン、ウール、シルクなど、世界中から集められた生地が揃っています。

50代になり家事や仕事、両親の介護に追われる毎日の中で、自分の時間を持つことの大切さを痛感しました。そんな私にとって日暮里繊維街を訪れる時間は、「手仕事を通じて自分を取り戻す特別なひととき」。布を選ぶ楽しみは、心のリセットと新しい挑戦の入口になっています。

この記事では、初めて訪れたときのときめき体験をはじめ、自分流に楽しむコース、定番ショップから私だけの隠れ家まで、心躍る体験談を交えつつご紹介します。次の作品のアイデアを胸に、ぜひ一緒に歩いてみませんか?

布の森を歩く喜び

日暮里繊維街の楽しさは「布の森」を歩くような感覚にあると思います。JR山手線「日暮里駅」北口を出ると、ひと筋の小道に両脇600メートルにもわたって繊維店が立ち並び、1店ごとに異なる色と手触りが出迎えてくれます。

私は最初、その多様さに圧倒され、どこから手をつければいいかわからず戸惑いました。

ですが「とにかく歩いてみよう」と決め、ガラスケースに並ぶジャガードの光沢や、ウールのしっとりした風合いを一つずつ確かめながら進んでいくうち、「この生地でバッグを作りたい」「このレースをドレスの襟にあしらおう」と次第に心が踊りだしたのです。

Nippori Textile Town

初めての体験談:初めての戦利品に歓喜した日

初めて日暮里を歩いた日は、まるで宝物探しのようでした。気がつけば手提げ袋の中には色とりどりの歯切れ、手触りが心地よいリネン、そして洋裁初心者でも扱いやすいカットクロスがぎっしり。

帰り道の電車で、バラで購入したばかりの小花柄プリントを手に取り、「この布で秋のポーチを作ろう」と思い描くだけで心が踊ったのを覚えています。50代になってから、「自分のためだけに布を選ぶ」体験は、若い頃には感じなかった自己肯定感を与えてくれます。

布はただの材料ではなく、未来の作品や思い出を育ててくれる小さな可能性のかたまりなのだと気づいた瞬間でした。

日暮里繊維街へはこう行く

JR山手線の「日暮里駅」の南口か東口から歩いて3分のところにあります。三河島駅や鶯谷駅は地方からの交通のアクセスが非常によいところにあります。

近頃はインバウンドで訪れる方も増えていて、街を歩いていると多くの外国人に出会います。アクセス方法もいろいろ…詳しくはこちらを御覧ください。

JR山手線「日暮里駅」から徒歩3分

Directions to Textile Town 1

①北改札を出て右に進みます。

Directions to Textile Town 2

②東口へ降りて、右に進みます。

Directions to Textile Town 3

③東口のロータリーを道なりに進みます。

Directions to Textile Town 4

④次の信号を渡ったらその先は繊維街。

そこから約600メートル、両側に店が続いています。スーツケースや大きな荷物を引く観光客も多いので、駅近くのロッカーやコインロッカーに荷物を預けて身軽になるのがおすすめです。

私流・お店巡りのプランニング

私が日暮里繊維街を訪れるときは、まず駅を出てすぐの昔ながらの喫茶店で軽くコーヒーを飲みながら地図を広げます。体力を温存しつつ、大まかなルートを頭に入れてから出発するのがコツです。

日暮里といえば入口にあるEDWIN

EDWIN

ジーンズメーカーのEDWIN、実は日暮里発の日本ブランドって知ってましたか?「DENIM」の文字を入れ替えてMをWにしたのが本当の由来なのですが、一説には「江戸が勝つ」で「edo-win」が名前の由来というのは都市伝説のようです。

「江戸勝」と入ってる暖簾をくぐって、ビーズ刺繍をするためのシンプルなGジャンやデニムをチェックしに、定期的に寄らずにはいられない場所です。

トマトの本館に行き、刺繍の土台として使うオーガンジーを探しに行き、ハイブランドでも使われるような高級生地を扱っているElegansもチェックし、E & SONでインドの刺繍リボンとインポートのインテリファブリックをチェック。

最後は駅近のカフェに戻って、ビーズ刺繍をどう施そうか、部屋の模様替えをどうしようかとあれこれ考えながらひと休みをして帰路につきます。

ここは外せない!代表的なお店といえばここ!

トマト

日暮里繊維街といえば「トマト」を外すことはできません。

5つの建物に分かれていて、本館はシルクやリネンなどの高級生地から衣装生地やコットン生地が豊富に揃っており、インテリア館はカーテンやクッションなどインテリア向けの厚地生地、ノーション館ではファスナーや針、ボタンなどソーイング用品が揃っています。

初心者からプロまで満足できる品揃えで、私はよく刺繍の下地に使うオーガンジーを探しに本館を訪れます。

さらに魅力なのはアーチ館の「掘り出し物コーナー」。入口入ってすぐの店には1メートル百円から数百円の生地が並び、ついまとめ買いしてしまうことも多いです。季節ごとにセール品が変わるので、同じ店をリピートする楽しみもあります。

tomato

洋裁材料専門店での調達

午後は「シモジマ」という洋裁材料専門店へ。ボタンやファスナー、リボンの品揃えに感動し、私は深いグリーンの本革持ち手と合わせる革用ボンドを手に入れました。ここ一店で洋裁道具が揃うので、あちこち探し回る手間が省けるのも大きな魅力です。

最後に訪れたアールデコ風の大胆な柄や、インド刺繍リボンを扱う「チカトー」は、毎回立ち寄る隠れ家のような存在。試作で見つけたブルー×ゴールドの幾何学模様の布は、帰宅後すぐにバッグ型紙を起こし、祖父母へのプレゼントに仕立てました。

初心者向け回り方のコツ

初めて日暮里繊維街を歩くと、膨大な布の種類に圧倒されます。私の失敗は「最初から買いすぎてしまった」こと。

おすすめは、まず無料で配布されている『繊維街マップ』を手に入れ、通りを一周して「気になる店」を3軒に絞ることです。その後、カフェで一息つきながらリストを見返し、必要な布だけを回に戻ると効率的。

また、布は想像以上に重いので、スーツケースや大きめのリュックを持参すると安心です。午前中に買い物、午後はワークショップやカフェ巡りを組み合わせると充実した一日を楽しめます。

Textile Town map

地元作家のワークショップで彩りを学ぶ

週末には地元のアマチュア作家さんによるワークショップやミニマルシェ、端切れ詰め放題イベントなどが開催されることも。

手仕事を通じた会話は話題が尽きず、まるで学生時代に戻ったかのように夢中になれます。同世代の仲間と新しい出会いを楽しむ場としても、日暮里は最高のロケーションです。

布を抱えて帰路でふくらむ夢想

日暮里繊維街を訪れた帰り道、私はいつもリュックを抱えながら「次はどんな作品を生み出そうか」と考えます。

自分の洋服を仕立てるか、バッグやポーチ、小さなクッションカバーでインテリアを彩るか。買い集めた生地たちは、どれもまだ小さな可能性のかたまりで、手を動かす時間に少しずつかたちを変えていきます。

Nippori Textile Town 2

まとめ:次の一歩へ

日暮里繊維街は、単なる材料調達の場ではありません。お店の人との会話から新しいアイデアが生まれ、偶然の出会いが手仕事をもっと豊かにしてくれます。50代から始めても遅くありません。むしろ人生経験を重ねた今だからこそ、「自分だけの作品」を生み出す楽しみを深く味わえるのだと思います。

「次に訪れたらこの生地でバッグを作ろう」「あのショップで買った布をカーテンに仕立ててみよう」と未来の構想を描きながら帰る道もまた、幸せな時間です。布の一枚一枚が、暮らしの中に小さな彩りを重ねてくれる。

ぜひこの秋、新しい手仕事の一歩を日暮里から始めてみてはいかがでしょうか。

コメント