50歳を過ぎてから私の人生に新しい挑戦が加わりました。長年趣味で続けてきたビーズ刺繍の知識を、オンライン講座という形で人に伝え始めたのです。最初は不安だらけでしたが、受講生の反応や質問に触れる中で、自分自身が一番多くのことを学んでいると気づきました。
そこで思いもよらない“学びの場”を得ることになりました。今回は、講師として活動をする過程で私自身が深く学び直し、成長できたエピソードとともに、その気づきの本質を包み隠さずお伝えします。
オンライン講座を始めたきっかけ
実は、最初は自宅で小さな教室を開こうと考えていました。でも、私の刺繍仲間には北海道や九州など遠方の方も多く、直接会うのは難しい。そんなとき、SNSで『オンラインで教えてほしい』とメッセージをもらい、思い切ってZoomを使った講座をスタートしました。
初回はカメラの位置や音声トラブルで冷や汗をかきましたが、受講生の「できた!」という声に救われ、オンラインの可能性を強く感じた瞬間でした。
「教える」ことで見つけた疑問と向き合う瞬間
講座を初めて驚いたのは、受講生から「刺繍糸の太さはどれを選べばいいですか?」や「ビーズの色を組み合わせるコツが知りたい」といった、私が普段無意識にやっていたことへの質問が多かったことです。自分の当たり前が、他の人には大きな壁になる――この気づきは、私の指導方法を大きく変えました。
例えば、実際に自分の道具箱をカメラでみせて、色合わせの失敗例を包み隠さず共有するようにしました。
学び直しの喜び――“教えて学ぶ”サイクル
ある時、「チェコビーズのサイズ表記が国によって違うのはなぜ?」と質問され、正確に答えられずに焦りました。夜遅くまで海外の刺繍フォーラムや公式サイトを調べ、ようやく納得できる説明ができた時。
また、「動画では見えにくいステッチの裏側はどう映したらわかりやすいだろう?」といろんな角度で動画を撮っては仲間に見てもらって編集したりして、まるで学生時代に戻ったような達成感がありました。
こうした「教える→調べる→学び直す」サイクルが、私自身の刺繍技術を何倍にも深めただけでなく、初めての動画編集の知識をも深めることができました。
受講生との交流から得た新たな視点
講座には、沖縄や東北からも参加者がいて、地域ごとに手に入るビーズや糸の種類が違うことを初めて知りました。ある受講生は、地元の伝統色を使った作品をみせてくれ、私も新しい色合わせに挑戦するきっかけになりました。
また、手首の痛みを和らげるために、100円ショップで買ったクッションを刺繍枠の下に敷いているというアイデアも、受講生から教えてもらいました。
こういった実践的なコツも、受講生の体験談から学び取ることができ、講座のQ&Aコーナーは私自身の“学びの宝庫”になりました。
教えることで磨かれたスキルと自己成長
講師として活動する中で、動画編集や資料作りにも本気で取り組むようになりました。例えば、刺繍の細かい手元を移すためにスマホスタンドや証明を工夫し、何度も取り直しました。自分の説明が伝わりづらいと感じた時は、受講生のフィードバックを元にスライドを追加したり、図解を描き直したり。
- プレゼンテーション力:スライドや図解で視覚的に伝える
- 文章力・構成力:わかりやすいステップで導く台本作り
- テクニック検証力:あらゆる素材や道具を自ら試し、最適解を探る
- 編集力:わかりやすい動画を撮影し、編集する
こうした経験はオンライン講座だけでなく、ブログ記事を書くときも役立ち、文章力や構成力が自然と磨かれたと実感しています。
これからの私と受講生へ
オンライン講座を開講して半年ほど経った頃、右手の古傷が悪化し、針を持つのもつらい時期がありました。正直、講座の継続を諦めかけましたが、受講生から『先生の動画を見て、初めて作品が完成しました!』というメッセージや、完成作品の写真が届くたび、もう一度頑張ろうという気持ちになれました。
無事に終えられたことは今でも忘れられません。受講生から届いたメッセージと完成作品の画像は、今みても胸が熱くなり、何ものにも代えがたい宝物です。
まとめ
もし、あなたが「自分の経験や技術を誰かに伝えたい」と少しでも思っているなら、最初は小さな一歩で大丈夫です。私は、友人にワンポイント動画を贈ることから始めました。
資料作りやミニ講座を通じて、自分の知識が整理され、思いがけない発見もたくさんありました。教えることで得られる喜びと成長を、ぜひ体験してみてください。
私自身、これからも受講生とともに学び続けながら、「教えることは、学ぶこと」という教訓を噛みしめていきたいと思っています。
ビーズ刺繍の世界で培った“教えるチカラと学ぶチカラ”。ぜひあなたも、自分の大切な知識や経験を誰かに伝えてみませんか?そこには、驚きと感動に満ちた新たな発見が待っています。
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