ビーズ刺繍は、シンプルな生地があなたの手によって素敵なアクセントとなるアートへと変わる魅力あふれる趣味です。特にオートクチュール刺繍のマントゥース技法には作品を美しく作る秘訣がぎっしり詰まっている技法です。
私自身も40代になってから、この手作りの温かさに魅了され、日々の生活に彩りを加えるために始めました。新しい挑戦には少し不安もありましたが、基本のテクニックをマスターすると、思わぬ達成感と癒しが得られました。
ここでは、初めての刺繍にチャレンジする方が安心して取り組めるマントゥース技法「5つの基本ステッチ」と、それぞれの応用ポイントを私自身の実体験を交えて詳しく紹介します。
縫い糸と縫い針の基本
糸の長さは長すぎず短すぎず、下記を目安にしましょう。
- ビーズや石座付きクリスタルを刺繍するとき→1本どり
- スパンコールを刺繍するとき→2本どり
長さは35〜40cmが扱いやすいです。長すぎると糸が絡まりやすくなりますし、短いと頻繁に糸を変えなくてはいけなくなります。
バックステッチ(連続刺し)
バックステッチは、ビーズ刺繍の基本のキ。線を描く際によく使われるステッチで、切れ目のない連続した線が特徴です。文字や輪郭など、多用途に使える万能な技法です。
やり方
- 布の裏側から針を出し、ビーズを2粒通し、下絵の線上に置き、幅を合わせて垂直に針を入れます。
- 線上から少し避けて2粒の真ん中の線上に針を出します。
- 2粒目のビーズに針を通します。
- 糸を進行方向に引きます。
- これを繰り返します。
ポイント
- 縫い目の長さと間隔を揃えることで、美しい仕上がりになります。
- 曲線や細かいデザインにも適しています。
- 基本は「2粒通して1粒戻る」「4粒通して2粒戻る」、最後に基本ができない時は「1粒通して1粒戻る」「3粒通して2粒戻る」で調整します。

最初は糸の引き方が均一でなく線がぶれてガタガタになってしまい悩んだこともありました。
何度か練習を重ねるうちに、まるで自由に線が導かれるような感覚を覚えました。シンプルながらも作品に表情を与えるこの技法は、初めての私でも大変親しみやすく、バックステッチだけでブローチは私のお気に入りです。

バックステッチだけでブローチを作ってみよう!作り方はこちら
コーチングステッチ
コーチングステッチは図案に沿って配置したワイヤーやメタル糸(モール)・ビーズなどを別の糸で押さえるように留めていく技法です。花や葉など、曲線を美しく表現するのによく使われます。
やり方
- まず、下書きに沿ってワイヤーやメタル糸など、芯となるラインを配置します。
- 別の糸を用い、下絵に沿ってその芯を押さえるようにステッチを入れて固定していきます。
ビーズの場合
- 下絵に沿って必要な長さのビーズを針に通します。
- 終わりの位置に針を入れ、1粒戻った下絵の線上に針を出します。
- 糸を跨いで縫い留めます。
ポイント
- 芯に対して糸が垂直になるように刺すこと。
- 糸を無理に引くと芯のワイヤーやモールが曲がってしまうことがあります。

庭先で見かけた可憐な花のブローチを作ったときに、この技法を使いました。最初はビーズが多すぎて歪んでしまったりと苦戦しましたが、徐々にコツを掴みました。必要な長さより1〜2粒少なくするときれいなラインが作れます。
▶ コーチングステッチだけでピアスを作ってみよう!作り方はこちら
ヴェルミセル(一粒刺し)
ヴェルミセル(一粒刺し)は面を埋めるときに使います。見た目以上に簡単で初心者にもおすすめです。
やり方
- 布の表側から針を出し、1粒ビーズを通し、すぐ真下に針を入れます。
- これを繰り返して、ビーズの向きがいろんな方向に向くように1粒ずつ刺します。
ポイント
- 必ずビーズの幅で垂直に針を出し入れしましょう。
- ビーズやクリスタルの穴が上を向かないように注意しましょう。
- ビーズがいろんな方向を向いてるので気楽にできます。

デニムのジャケットのポケットに刺繍した時、この技法のおしゃれさと自由度に魅了されました。このジャケットは今でも愛用しており、自分だけのオリジナルアイテムとして誇りに思ってます。
スパンコールの連続刺し(バックステッチ)
スパンコールを続けて刺すテクニックです。花の中心や木の実など立体的なアクセントとして活躍します。
やり方
- スタート地点から針を出し、スパンコール①を1枚通し進行方向(右)側すぐ横に針を入れます。
- スパンコール①の穴から針を出し、縫い留める。
- ②枚目のスパンコール②を針に通し、①の右端から半径分先に針を落とし、土台布をすくって①の右端から針を引き出す。
- 針をスパンコール②の穴に通し、糸を引きながら進行方向の反対(左)に倒し、スパンコールを倒した後、指で固定し、糸を引っ張るときれいに重なります。
ポイント
- ビーズのように進行方向に糸を引くとスパンコールが立ってしまうので、必ず逆に糸を引きます。
- スパンコールの穴が見えそうで見えない、スパンコールがピタッとネているのが良い状態です。均一にするには力加減が重要です。

ストールにバラ柄の刺繍でこの技法を使いました。この作品は春らしさが気に入って今も使っています。この技法のおかげでシンプルな洋服や小物に立体感とアクセントを加える楽しさを学びました。
スパンコールのビーズ留め
スパンコールを美しく留めていく技法です。
やり方
- 付けたい位置に針を出し、スパンコールを通し、さらにビーズを1粒通します。
- スパンコールの穴に針を入れます。
ポイント
- 初めと終わりはしっかりと「返し縫い」を行うことで、解れにくい仕上がりに。

大切なアクセサリーの一部として、スパンコールで飾られたブローチを作った際、この技法が支えになっており、しっかりと形を保ってくれるので安心でした。
初心者へのアドバイス
- 毎日10分の練習を習慣に :たとえ短い時間でも、毎日続けることで技術は着実に向上します。私も、仕事や家事の合間に10分だけ刺繍する時間を作ることで、自然と完成度が上がりました。
- シンプルな図案から始める :はじめは小さな花やシンプルな文字など、負担の少ないデザインがおすすめです。失敗を恐れずチャレンジすることで、次第に自分だけのアレンジが楽しめるようになります。
- 道具選びにもこだわる :古くなった道具ではなく、手に馴染む本格的な刺繍枠や針、糸を選ぶと、作業効率も上がり仕上がりにも自信が持てます。
まとめ
今回ご紹介した5つの基本ステッチは、ビーズ刺繍デビューに必須な技法です。
- バックステッチ(連続刺し)で滑らかな線を描き、
- コーチングステッチでアウトラインを美しく固定、
- ヴェルミセル(一粒刺し)で面全体にふんわりと彩りを、
- スパンコールの連続刺しとスパンコールのビーズ留めで作品に華やかさと立体感をプラスします。
新しい趣味に挑戦する中で、手間ひまかけた刺繍作品は自信の証となり、毎日をより豊かにしてくれることでしょう。50代から始めるビーズ刺繍で、あなた自身のペースで楽しみながら、世界にひとつだけのアートを生み出してみませんか?
また、これまでの体験の中で、「失敗は新たな発見につながる」という言葉を実感しました。ぜひ、試行錯誤の中で自分なりの工夫を楽しんでください。新しい技法や応用テクニックも、日々の練習で自然と身についていくはずです。
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